芭蕉db
   大通庵の主道円居士、芳名を聞く
   こと親しきままに目見えんことを
   契りて、終にその日を待たず、初
   冬一夜の霜と降りぬ。今日はなほ
   一周にあたれりといふを聞きて

その形見ばや枯れ木の杖の長

(芭蕉庵小文庫)

(そのかたち みばやかれきの つえのたけ)

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 元禄元年10月(この年9月30日に貞亨から元禄へ改元)。道円なる人物は禅宗の僧侶らしいが不詳。この句は、会えずに死別した道円の一周忌に寄せたというのだが、法要に参列したのか、せずに句だけを詠んだのかも前詞からだけでは不明。

その形見ばや枯れ木の杖の長

 生前の姿をせめて一目見たかったものだ。あるいは故人の愛用していた枯れ木の杖なりとも一目見て故人をしのびたいものだ。