芭蕉db
   膳所へ行く人に

獺の祭見て来よ瀬田の奥

(花摘)

(かわうその まつりみてこよ せたのおく)

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 元禄3年1月。前詞の「膳所へ行く人」は不明だが、洒堂ではないかと言われている。洒堂は大津の人だからあえて瀬田川の奥に行って獺祭<だっさい>を見てくることも無い。

獺の祭見て来よ瀬田の奥

 獺は魚を捕獲するとすぐには食べないで巣の上や川岸に並べて楽しんでいるといわれている。これを獺の祭=獺祭<だっさい>という。転じてものを調べるときに参考文献を沢山並べることを獺祭ともいう。正岡子規の「獺祭書屋」は後者の意味からとった庵名。また、獺のこの習性を先祖を祀る祭壇とみて、正月16日から20日までの先祖供養の行事を獺祭とも呼んだ。
 さて一句の意味は、あなたは膳所へ行くそうですが、それならぜひ瀬田川の奥へ行って御覧なさい。今頃は獺が獺祭魚という祭をやっていますよ。
 瀬田川の奥は琵琶湖である。琵琶湖には獺が多く棲息していた。


大津市田上の句碑。牛久市森田武さん提供