芭蕉db
野中の日影
蝶の飛ぶばかり野中の日影哉
(笈日記)
(ちょうのとぶ ばかりのなかの ひかげかな)
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貞亨2年。『野ざらし紀行』で鳴海付近にて。
蝶の飛ぶばかり野中の日影哉
春の野原。天気晴朗。さえぎるものとて無い広い野っ原。ここでは日影といっても飛んでいる蝶の羽影だけしかない。切れは悪いが力強い句。「野ざらしを心に風の沁む身かな」といった悲壮感はもはや無い。