芭蕉db
其柳亭

秋もはやはらつく雨に月の形

(笈日記)

(あきもはや はらつくあめに つきのなり)

昨日からちょつちょと秋も時雨かな

(きのうから ちょっちょと あきもしぐれかな)

句集へ 年表へ Who'sWhoへ


 元禄7年9月19日ごろ、大坂。51歳。其柳<きりゅう>亭での八吟歌仙の発句。

秋もはやはらつく雨に月の形

 秋も深まってきて、時雨のはしりもやってきた。月も小さくなって九月も下旬にさしかかってきたようだ。初案は、「昨日からちょつちょつと時雨かな」であったらしい。
 芭蕉は「時雨」の詩人と言われている。いつの年も時雨を必ず詠み続けた。そして、今年が最後になった。