芭蕉db

秋風や桐に動きて蔦の霜

(三冊子)

(あきかぜや きりにうごきて つたのしも)

梧動く秋の終りや蔦の霜

(きりうごく あきのおわりや つたのしも)

(芭蕉庵小文庫)

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 元禄4年晩秋。

秋風や桐に動きて蔦の霜

 『芭蕉庵小文庫』の「梧動く秋の終りや蔦の霜」が初案である。これは嘱目吟であろうが、決定槁になると句意が捕らえにくい。そのためしばしば解釈に異同が生ずる句である。
 初案では、晩秋の風に吹かれて桐の木が揺れている。その桐木に寄生しているツタの葉には霜が降りて白く光っているのである。桐木にはすでに葉一枚付いてはいない。