芭蕉db
  旅懐

この秋は何で年寄る雲に鳥

(笈日記)

(このあきは なんでとしよる くもにとり)

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 元禄7年9月26日、51歳。下五の「雲に鳥」は「寸々の腸をさかれ」ながら導き出したと言われている。芭蕉最後の最高傑作品。「この道を行く人なしに秋の暮」、「松風や軒をめぐって秋暮れぬ」は同じ日の作品。

この秋は何で年寄る雲に鳥

 この秋は、まさに人生の終りの秋だったのである。夢は枯野をかけめぐり、身に深い老いを感ずる。秋風に運ばれるように雲は流れ去っていき、雁は北に向かって発つ。芭蕉の死期はもう近い。


大阪市天王寺区伶人町大阪星光学院浮瀬亭俳跡にて、牛久市森田武さん撮影