芭蕉db

宿りせん藜の杖になる日まで

(笈日記)

(やどりせん あかざのつえに なるひまで)

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 貞亨5年5月の中旬ごろ。岐阜梶川の妙照寺、己百亭<きはく>に逗留の折。
この折、己百は『笈の小文』の旅を終えて京都に滞在中芭蕉を訪ねて、美濃まで誘ったものらしい。

宿りせん藜の杖になる日まで

 己百のもてなしに対する挨拶吟。あまりの快いもてなしにこの分ではアカザが杖になる迄滞在したいものだというのである。
 アカザは、河原などに自生する雑草で、背丈は1メートル以上にもなる。若葉は食用にもなるが酸っぱい。秋になって枯れた茎を老人用の杖にした。軽くて使いやすい杖になったのである。


岐阜市妙照寺の句碑。己百はこの寺の住持であった。牛久市森田武さん提供