尾張名古屋の大橋左衛門。『あら野』などに入句。
いそがしきなかに聞けり蜀魄 (『あら野』)
めいげつはありきもたらぬ林かな (『あら野』)
松高し引馬つるゝ年おとこ (『あら野』)
月花の初は琵琶の木どり哉 (『あら野』)
寐やの蚊や御佛供燒火に出て行 (『あら野』)
杜若生ん繪書の來る日哉 (『あら野』)
講釈の眠りにつかふ扇哉 (『あら野』)
水あびよ藍干上を踏ずとも (『あら野』)
蝉の音に武家の夕食過にけり (『あら野』)
五月雨や鶏とまるはね作り (『あら野』)
稲妻にはしりつきたる別かな (『あら野』)
をく露や小町がほねの見事さ (『あら野』)
攝待のはしら見たてん松の陰 (『あら野』)
古宮や雪じるかゝる獅子頭 (『あら野』)
灯のかすかなりけり梅の中 (『あら野』)