S32

いそがしや沖のしぐれの眞帆かた帆

目次へ



   
いそがしや沖のしぐれの眞帆かた帆  去來

去來曰、猿ミのハ新風の始、時雨ハ此集の美目なるに、此句仕そこなひ侍る*。たゞ有明や片帆にうけて一時雨といはゞ、いそがしやも、眞帆もその内にこもりて、句のはしりよく心のねばりすくなからん。先師曰 、沖の時雨といふも、又一ふしにてよし。されど句ハはるかにおとり侍ると也*