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梅白しきのふや鶴をぬすまれし

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梅白しきのふや鶴をぬすまれし        ばせを


去來曰 、ふる藏集に此句をあげて*、先師のうへをなじりたりし也。これらハ物のこゝろをわきまへざる評なり。此句ついやしやう賞に似たりと也*。凡秋風ハ洛陽の富家に生れ、市中を去り、山家に閑居して詩歌をたのしみ、騒人を愛するときゝて、かれにむかへられ、實に主を風騒隠逸の人とおもひ給へる上の作有。先師の心に侫諂なし。評者の心に侫諂あり*。其後 ハしばしばまねけども行たまはず。誠にあざむくべし、しゆべからず*。又句體の物くるしきハ、その比の風なり。子亥一巡の後評とハ各別なるべし。