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芭蕉DB
野ざらし紀行
(鳴滝)
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京にのぼりて、三井秋風
*が鳴瀧の山家をとふ。
梅林
(うめしろし きのうやつるを ぬすまれし)
(かしのきや はなにかまわぬ すがたかな)
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表紙 年表
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梅白し昨日ふやを盗まれし
梅の咲き匂う秋風の立派な山荘の庭園には必ず鶴がいると思ってきてみたのに鶴は居ない。これは昨日盗まれちゃったに違いない。中国宋代の陰士林和靖は、梅林に住んで梅を妻とし、鶴を子として生活していたという。三井秋風を林和靖になぞらえて、その山荘には梅林があり鶴がいると想定しての句である
。
これに付けた秋風の脇句は「杉菜に身擦る牛二ツ馬一ツ」。そんな大層な鶴などいませんでしたよ。それより、杉菜草に体を擦り付けている牛が2頭、馬が1頭ならいますがね。
京都府上京区鳴瀧にある句碑
今回も、多くの各市町村の観光課や教育委員会、義仲寺、見知らぬ多くの人にお世話になり、句碑を探すことが出来ました。名古屋では、私の車のナンバーから茨城県と知り、親切にお寺を探してくれました。滋賀の本福寺の病雁の句碑が見つからない時には、近所の年配の親子が広い境内を一緒に探してくれたり、最近そんな人々とのふれあいが嬉しくなりました。(文と写真:牛久市森田武さん)
樫の木の花にかまはぬ姿かな
今桜の季節、華やかな花の季節に樫の木は硬い樹肌と青い葉で堂々と渡り合っている。秋風の堂々たる態度を誉めそやした挨拶吟。
秋風の脇は「家する土を運ぶ燕<つばくろ>」。
三井秋風:「Who'sWho」参照