『去来抄』は上方蕉門の第一人者向井去来による俳論である。ただし、この書が尾張暁臺(台)によって板行されたのは安永4年(1775)3月で、去来は1704年9月に死んでいるから、没後70年以上を経過していた。それゆえに、本書が去来の自筆本であるか否か、それ以上にそもそも去来の思想であるかいなかまでが問題視されてきた。しかし、本書での主張は日頃去来の主張してきた考え方であり、現在ではその点での疑念はほとんど無いと言って差し支えない
。
なお、作成に当たっては下記書籍を参照した。文中、句読点は読み易いように制作者の判断によって入れた。JISコードに無い文字については文中にことわりを入れた
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参考文献
中村俊定・山下登喜子解説校註:『去来抄 改訂増補版』笠間書院(平成15年2月)
頴原退蔵校訂:ワイド岩波文庫『去来抄・三冊子・旅寝論』岩波書店(2005年12月)