(汐越の松)
終宵嵐に波をはこばせて
月をたれたる汐越の松 西行
*終宵嵐に波をはこばせて・・西行:<よもすがらあらしになみをはこばせて・・>。この歌は西行ではなく蓮如の作。この時代には西行のものと思われていた。
無用の指を立るがごとし:蛇足を加えることになるの意。 すばらしい歌とも思えないが、西行の作と聞けば話は違ってくるという例であろう。
全文翻訳
越前と加賀との国境、吉崎の入り江に舟を出して、汐越しの松を見に行った。
終宵嵐に波をはこばせて月をたれたる汐越の松 西行
この一首ですべては言い尽くされた。もしこれに、何かを加えようと言うのであれば、それは五本の指にもう一本指を加えるに等しく無駄以外の何物でもない。