芭蕉db

笈の小文 (24)

(初瀬)


初瀬*

春の夜や籠リ人ゆかし堂の隅

(はるのよや こもりどゆかし どうのすみ)

足駄はく僧も見えたり花の雨  万菊

(あしだはく そうもみえたり はなのあめ)


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表紙 年表


春の夜や籠り人ゆかし堂の隅

 初瀬観音は恋の願いを聞いてくれる菩薩として古来有名。この籠り人は男だろうか女だろうか? 想いは恋に違いない。堂の隅で祈るのが、何よりの証拠。時は値千金の春の宵。
 実際に籠り人がいたかどうか? 芭蕉の瞼の裏に王朝の女人(わけても源氏物語の女達)が幻想として映っていたかもしれない。
芭蕉秀句の一つ。

桜井市大字初瀬 崇蓮寺境内の句碑(牛久市森田武さん撮影.。寄せ書きには、「前回、5月(2003年)の撮影の時は、カメラのトラブルで、長谷寺の前をみすみす通過しながら涙をのみました。」とありました。ご苦労をおかけしました。)