芭蕉db

笈の小文

(歌仙)


ある人興行*

香を探る梅に蔵見る軒端

(かをさぐる うめにくらみる のきばかな)

 此間、美濃・大垣・岐阜のすきものとぶらひ来りて、歌仙*、あるは一折*など 度々に及。

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表紙 年表


香を探る梅に蔵見る軒端

 防川の富裕さを梅の香に託して誉めた挨拶吟。どこからともなく梅の香りが匂ってくる。どこに梅ノ木があるのだろうと探していると、大きな蔵の軒端に視線が突き当たったというのである。
 なお、『笈日記』では、

香を探る梅に家見る軒端哉

とある。