(ときはふゆ よしのをこめん たびのつと)
露沾公:<ろせん こう>と読む。奥州磐城藩10万石平城主内藤右京大夫の次男義英<よしひで>。この時期の俳諧ディレッタントの一人。先の長太郎はこの内藤家の家臣 。一門はこの時期の江戸俳壇のアントロプレナーとして、その発展に尽くした有力スポンサー。
時は冬よしのをこめん旅のつと: 今は冬の季節だが、やがて春になる頃には吉野の桜を愛でた歌が詠まれることでしょうね。露沾が芭蕉に宛てた餞の句。
別墅にまうけし:「まうけ」たのは宴会のこと。富裕な門人達が、それぞれ所有している別邸などで送別の宴を開いてくれたことをさす 。
ゆへある人の首途するにも似たりと:「首途」は<かどで>と読む。高貴な人の旅立ちのようだ。照れながらも自信をのぞかせた書きぶりではある。