沾圃歌仙珍重:沾圃が編んだ『別座舗』を褒めている。沾圃<せんぽ>についてはWho'sWho参照。
沾徳も出会ひ申され候よし:沾徳もこの会には出席したようで、出来が大変よい、というのである。沾徳<せんとく>についてはWho'sWho参照。
随分新意の「軽み」にすがり:新しい「軽み」をよく学んで、上方の者達に負けないように努力せよと沾圃や沾徳に伝えてくれと言う。
先集のきず残念に候ゆゑ:ここに先集とは『猿蓑』をさす。これが評価が大変高かったので、つづく『続猿蓑』もしっかり編集しなくてはいけない、というのである。当時、江戸で沾圃が『続猿蓑』の企画に携わっていて、芭蕉はその校閲をしている。
他へは沙汰これ無く:『続猿蓑』編集に自分がタッチしていることは周囲の者達には内緒にしておくようにと言うのである。ここに周囲の者とは、嵐雪らを指している。嵐雪らとの確執が表面化していることを暗示している一行。
取り重なり候ゆゑ、何事も申し残し候:認めなくてはならない手紙がたくさんあるので、用件のみで言い残したことがたくさんある、の意。