最後の伊賀滞在中、伊賀の万乎主催の句会参加の誘いに対する返書。腹の具合が悪いので延期して欲しいと書いている。このお腹の不調はついにこの秋の死まで快癒することは無かったのである。
昨日は御手がみ忝致二拝見一候。並御発句:<さくじつはおてがみかたじけなくはいけんいたしそうろう。ならびにごほっく>と読む。昨日はお手紙ありがとう、また発句もありがとう、の意。
静々留置候。吟味、加筆可レ致候:<しずしずとどめおきそうろう。ぎんみ、かひついたすべくそうろう>。留置は、手元においてよく鑑賞してみましょう、の意。その上で加筆訂正をしましょう。
仍而今夕御催可レ被レ成旨珎重に存候へ共:<よってこんゆうおもよおしなさるべきむねちんちょうにぞんじそうらえども>と読む。今夜句会を開かれるとのこと、大変結構ですが・・腹の具合が悪いので延期して欲しいというのである。芭蕉は、この頃から腹の具合が悪かったのである。
為二御断一如レ此御座候。其内期二貴面一可レ得二御意一候:<おことわりのためかくのごとくにござそうろう。そのうちきめんをごしぎょいをうべくそうろう>と読む。というわけで今夜の句会はお断りしますが、そのうちにお会いする機会もありお話をする機会もあろうと思います、の意。