宛先も年次も不詳だが、浪人中の誰かを去来の兄元端に入門斡旋を依頼しているところから宛先は去来と見当がつく。依頼の主人公は不明。
猶能手引頼申度よし相談に候:<なおよきてびきたのみもうしたくよしそうだんにそうろう>と読む。なお、ご紹介をお願いしたいということでありますが、の意。
若もむさと頼候はゞ、去歳素牛が手に成候而:<もしもむさとたのみそうらわば、きょさいそぎゅうがてになりそうろうて>と読む。もしもただむやみに人に頼んでしまうと、去年の素牛の例と同じようになってしまうので、の意。素牛の就職についてこの前年に何か失敗をしたらしいが不明。
此仁牢人之事に候へば、笑止に存候間:<このひとろうにんのことにそうらえば、しょうしにぞんじそうろうかん>と読む。牢人は浪人、笑止は気の毒なの意。
元端老御頼被レ成被レ下、醫道少々御導被レ下候様に御取持可レ忝候:<げんたんろうにおたのみなされくだされ、いどうしょうしょうおみちびきくだされそうろうようにおとりもちかたじけなかるべくそうろう>と読む。元端は去来の兄で禁裏の医師を勤めていた
御門人に被レ成候はゞ猶以可レ忝候:<おもんじんになされそうらわばなおもってかたじけなかるべくそうろう>と読む。弟子にしていたけるのであればなおなおありがたいことですが、の意。