芭蕉db

句空宛書簡

(元禄5年1月16日 芭蕉49歳)

書簡集年表Who'sWho/basho


 一、北海集之事、序之事、申被越候*。尤とりあへずしたゝめ可申事ながら、遠境心にもまかせず候へば*、延引に成候而気の毒に存候間*、其元に而いかやう共なぐり可成候*。愚句両吟にて御わび申度候*。愚作交り過たるもよろしからず候*。猶急便故早々*。 以上
正月十六日                         はせを

 宛先を欠くが江戸日本橋橘町彦右衛門宅より金沢の門人句空宛に書いた書簡らしい。句空が「北海集」ならぬ『北の山』編纂についてその序文執筆を依頼してきたのに対する断りと、自分の句はその中では2句だけにとどめるようにと指示したものらしい。『北の山』は、このために芭蕉の詠んだ句「うらやましうき世の北の山桜」を発句とする句空・去来の歌仙を納めた書。芭蕉の句としては、それと久々の江戸へ帰っての句「ともかくもならでや雪の枯尾花」の2句を納める。