芭蕉db

荷兮宛書簡

(貞亨5年9月3日 芭蕉45歳)

 

書簡集年表Who'sWho/basho


一、越人昼寝がちにて、いまだ何事も得取かゝり不申候*。拙者も人にまぎれ居申候。
一、其角も上り度よし申候。自然立寄候はヾ、よろしく御取持可下候*。若き者に而御ざ候へば、跡もさきもわかちがたく候*。先何やらかやら取まぎらはしく候間、早筆如此御坐候*。啓首
九月三日                               ばせを

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  『更科紀行』の旅を終えて芭蕉が名古屋の門弟越人を同道して江戸に戻ってきたのは、貞亨が元禄に変わる直前の貞亨5年8月の末。本書簡は、その旅の疲れも取れない9月3日付、名古屋の重鎮荷兮に宛てて書いた礼状の断簡である。この更科の旅では荷兮は家内の者をつけてくれるほどの親切を施してくれたのである。