(元禄3年9月27日 芭蕉47歳)
怒誰宛書簡。この書簡は、真贋が定まっていない。
堅田の千那の寺本福寺に滞在して風邪を引き、昨日ようやく木曾塚に戻ってきて、今日はこの手紙を書いてから上京するという。それも一泊二日で。現代のサラリーマン並みの繁忙ぶり。そんな中書いた膳所の怒誰宛の一通。書簡と言うよりメモ。
愈御無事に被レ為レ成二御座一候由、珍重奉レ存候:<いよいよごぶじにござなされそうろうよし、ちんちょうにぞんじたてまつりそうろう>と読む。お元気の様子何よりとお喜び申し上げます、の意。
少用の事御座候而上京仕候間、近日罷出得二貴面一候:<しょうようのことござそうろうてじょうきょうつかまつりそうろうあいだ、きんじつまかりいできめんをえそうろう>と読む。ちょっとした用事があるので京に行きますが、近日中にお目にかかるものと思います、の意。