芭蕉db
   人々郊外に送り出でて三盃を傾け
   侍るに

朝顔は酒盛知らぬ盛り哉

(笈日記/阿羅野)

(あさがおは さかもりしらぬ さかりかな)

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 貞亨5年8月11日。『更科紀行』の出発に際しての留別吟。同じシチュエーションで「草いろいろおのおの花の手柄かな」、「送られつ別れつ果ては木曽の秋」がある。

朝顔は酒盛知らぬ盛り哉

 いま私たちは『更科紀行』の旅に出発する。多くの門人が集まって別れを惜しみ盃を重ねている。朝顔はそんな俗事に目もくれず今を盛りと咲き競っていることだ。そもそも朝顔は人に見られたくて咲くのではない。