芭蕉db

麦生えてよき隠れ家や畑村

(真蹟懐紙)

(むぎはえて よきかれがや はたけむら)

麦蒔きてよき隠れ家や畑村

(真蹟懐紙)

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 貞亨4年、44歳。『野ざらし紀行』の旅の途次杜国を訪ねて。

麦生えてよき隠れ家や畑村

 杜国が、流された辺りが畠村と呼ばれたらしい。現在 の愛知県田原市福江町である。ここには冬のさかりに麦も青々と生えてよい隠れ家ですよ、というのだが、ここは隠れ家ではなく罪人の配所だったのである。それを隠遁生活者だと決め込むことで杜国を慰めているのである。本当は、よき村どころではなく、「さればこそ荒れたきままの霜の宿」だったのである。


潮音寺境内の杜國墓碑と三吟句碑(牛久市森田武さん提供)
 麦生えて 能隠れ家や 畠村  芭蕉
      冬をさかりに椿咲く也  越人
 昼の空 蚤かむ 犬の 寝かへりて 野仁