芭蕉db
   杜国が不幸を伊良古崎に訪ねて、
   鷹の声を折りふし聞きて

夢よりも現の鷹ぞ頼もしき

(鵲尾冠)

(ゆめよりも うつつのたかぞ たのもしき)

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 貞亨4年、44歳。『笈の小文』の途次、伊良子の杜国を訪ねて。
なお、杜国の流罪は1年半ほど前の貞亨2年8月19日の事であった。

夢よりも現の鷹ぞ頼もしき

 「むばたまの闇のうつつは定かなる夢にいくらもまさらざりけり」(『古今集・恋三』よみびと知らず)が下敷きにある。杜国に会うまで夢に見た鷹であるが、いまこうやって現実の伊良湖崎の鷹を見ていると、「古今集」の詩とは違いやっぱり現実の方がよい。杜国に会えた喜びの表出。