芭蕉db

冬籠りまた寄りそはんこの柱

(尚白宛真蹟書簡)

(ふゆごもり またよりそわん このはしら)

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 元禄元年冬、10月13日。「尚白宛書簡」及び「益光宛書簡」。「菊鶏頭切尽しけり御命講」の句とともに自信作であった。白楽天の詩に「閑居シテ復倚此柱」がある。
 芭蕉は、この秋、『笈の小文』や『更科紀行』の旅から江戸に戻ったばかりであった。久しぶりの住み慣れた庵に帰ってきた安堵感は、「旅にして旅を栖とする」ことを理想とした芭蕉にとっても格別のものがあったに相違無い。

冬籠りまた寄りそはんこの柱

 また、何度目かの冬がきた。私はこうして冬籠りをここでする。慣れ親しんだこの柱に身を任せて。


三重県上野市農人芭蕉生家にある句碑(牛久市森田武さん撮影)