(経過)
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表紙へ 年表
予また市中を去ること十年ばかりにして:約10年前の延宝8年初冬、芭蕉は江戸日本橋という街中から深川に隠棲した。
五十年やや近き身は:このとき芭蕉は47歳 。
やがて出でじ:西行の歌「吉野山やがて出でじと思ふ身を花散りなばと人や待つらん」を引用。やがては、もう再びの意。一首は、桜に夢中になってしまった西行が、もはや吉野から出て行くことはないと思っているのに、周囲の人は花が無くなれば降りてくるさと思っている、事だろうの意。しかし、芭蕉のここでの態度は、それほどまでとは思えないが…。
鳰の浮巣:琵琶湖は古来、「鳰<にお>の湖」と呼ばれていた。なお、鳰はカイツブリのこと。
高砂子歩み苦しき:<たかすなご>と読み、深い砂地を表す。足を取られて歩きにくい砂地の土地の意。
きびす:かかとのこと。