研究業績一覧1.著書■箕浦一哉:環境と「社会システム」−私たちの生活と環境とのかかわり−,平塚彰編『環境学原論』電気書院,163-182,2004.12.概要:環境問題の困難さのひとつは,私たちの「あたりまえ」の生活が直接・間接の原因となっているところにある。このことから,ひとりひとりの意識を高める必要性が叫ばれている。しかしむしろ重要なのは,私たちのライフスタイルや行動が社会のありようによって限定されている点である。したがって,環境問題を個人の意識の問題にしてしまわず,社会の仕組みの問題として考えていくことが肝要であると考えられる。そこで参考になるのは,環境の共同利用・共同管理に注目する「コモンズ」の考え方である。ここで注目する「共同」とは,「公」と「私」の2者の間を埋めるものと考えられている。伝統的社会には住民が環境を保全しつつ利用する仕組みが備わっている事例がしばしば見られる。また,社会の中に環境保全の仕組みをつくる住民の取り組みをコモンズの形成と捉える研究もある。環境問題を考える上で,人びとの共同の取り組みは有効であり,もっと注目されるべきものだと考えられる。 2.論文■箕浦一哉,平松幸三,奥田孝史,金城巌,厚井弘志,大井紘,松井利仁,高木興一:住工混在地区の音環境と居住者の意識−インテンシヴな調査法による−,環境衛生工学研究 8(3),75-80,1994.堺市の住工混在地区において音環境に関するインテンシブ調査を実施した。調査地区の面積は約6haに限定したが,環境音測定の結果,場所による音環境の異同がみられ,観測点密度を高くする必要性が明らかになった。自由記述質問紙調査の結果から,地区内の音環境に関する居住者の評価について知見をえることができ,自由記述式質問紙調査の有効性が確かめられた。 ■箕浦一哉,平松幸三,奥田孝史,金城巌,厚井弘志,大井紘,諸星敏勝,松井利仁,高木興一:住みよさに関する居住者の意識と音環境−豊中市の幹線道路沿道集合住宅における調査−,環境衛生工学研究 9(3),249-254,1995. 幹線道路沿道の集合住宅を対象に,環境音調査および自由記述式質問紙調査を実施した。騒音レベルの測定結果,住みよさ,音環境に関する自由記述回答の内容を報告し,住みよさに関する居住者の意識と音環境の関係について検討した。その結果,特定の音源の騒音レベルが卓越している音環境のもとでは,居住者の他の音源への関心が低下することが見いだされた。 ■Kazuya MINOURA, Kozo HIRAMATSU: On the significance of an intensive survey in relation to community response to noise, Journal of Sound and Vibration, 205(4), 461-465, 1997. 少数の事例について詳細な記述を行うインテンシブ調査は,騒音の社会調査の分野では従来用いられることが少なかったが,重要な手法である。音環境への住民反応に関するインテンシブ調査は,音環境の調査と意識調査の2つの部分からなる。音環境調査については,調査項目,観測点密度などを検討する必要がある。意識調査については,手法の選択が重要であり,多く用いられる質問紙調査のほか,自由記述,自由面接などによることが適当である場合も多い。 ■Kazuya MINOURA, Kozo HIRAMATSU, Toshihito MATSUI, Koichi TAKAGI, Ko OI: An intensive survey on community response to sonic environment in a residential-industrial mixed use area, Journal of Sound and Vibration, 205(4), 481-492, 1997. 住工混在地区における音環境への住民意識に関するインテンシブ調査を実施した。調査地区の面積は約6haで比較的小さい。調査は(1)音環境の観測,および(2)自由記述式質問紙調査による意識調査から構成される。観測された音環境は,今回の調査地区程度の規模においても一様とは見なしえなかった。また,回答者の社会的文脈によって,音環境についての意識に相違がみられた。 ■箕浦一哉,平松幸三,大井紘:京都・西陣地区居住者の音環境に関する意識(Community response to the sonic environment in Nishijin area, Kyoto),環境衛生工学研究 12(3),25-30,1998. 京都市西陣地区において,音環境の観測,ならびに生活環境および音環境に関する自由記述式質問紙調査を実施し,結果を分析した。その結果,地区固有の歴史や回答者の職業経験による回答への影響が見いだされ,居住者の経験が環境に対する認識・反応に影響を与えている可能性が示唆された。 ■箕浦一哉,平松幸三:自由記述調査を用いた音環境の比較の方法(A method for comparing sonic environments by means of free response by questionnaire survey),環境衛生工学研究 14(3),140-145,2000. 筆者らはこれまで自由記述質問紙を用いた音環境に関するインテンシブな事例調査を3地区で行ってきた。本報告では3地区における音環境に関する自由記述調査結果を用いて音環境の比較の方法について検討した。 ■平松幸三,松井利仁,箕浦一哉,宮北隆志,長田泰公,山本剛夫:家屋防音工事のミティゲーション効果−航空機騒音の疫学調査に基づく検証−,環境衛生工学研究 14(3),146-151,2000. 特殊空港周辺で実施されている家屋防音工事のmitigation効果について,沖縄県航空機騒音健康影響調査の一環として実施された生活質・環境質に関する質問紙調査結果に基づいて検討した。その結果,家屋防音工事は航空機騒音のmitigationとして有効に機能していない,と結論された。 ■平松幸三,箕浦一哉,松井利仁,宮北隆志,長田泰公,山本剛夫:家屋防音工事による航空機騒音の影響の軽減効果−住民反応による検討−,日本音響学会誌 56(8),556-564,2000. 特殊空港周辺で実施されている家屋防音工事が生活実態上どの程度生活環境の改善に寄与しているのかを検討するため,嘉手納基地周辺において質問紙調査を行い,家屋防音工事の実施状況,それに対する満足度と効果の有無ならびにうるささ,生活妨害,環境質に関する回答を分析した。その結果によると,騒音曝露地区では,家屋防音工事への満足度が高く,その効果を評価する回答が多かったが,高度曝露地区ではそれらの回答率が著しく低かった。生活妨害の反応率を家屋防音工事実施群と非実施群とで比較したところ,両群において反応率に差が認められなかった。このことから家屋防音工事が生活環境を改善することにはなっていない,と結論された。 ■箕浦一哉:明石海峡大橋開通半年後における生活環境の変化の地域性,山梨県立女子短期大学紀要,34,205-210,2001. 明石海峡大橋の開通後に生じた周辺地域住民の生活環境の変化について,質問紙調査の結果に基づいて検討した。その結果,住民の生活環境における架橋の影響は地理的条件によって大きく異なることが知られた。淡路地域での架橋の影響は,島内全域にわたり,生活全般に,そしてプラスマイナス両面にわたってみとめられた。中でも,淡路地域において明石海峡大橋にほど近い北淡町および淡路町では特化した影響がみとめられた。本州側での影響は,淡路に比較すると小さく,主としてレジャー・観光の面に限定されていた。しかし,橋に近い神戸市垂水区および明石市東部では,特化した影響がみとめられた。 ■平松幸三,松井利仁,箕浦一哉:環境類似度を用いた音環境評価の試み,環境衛生工学研究 15(3),199-204,2001. 近年,環境行政の理念は,従来の「基準クリア型」から「ベスト追求型」へ移行しつつあり,環境の多様な属性について総合的に評価する手法の開発が必要となってきている。そのための一つの考え方として,本稿では異なる環境間の類似性に着目し,環境類似度を用いた環境評価の意義と方法について,主に音環境を例として論じる。 ■箕浦一哉:住民による景観づくりと行政の関与:山梨県景観条例に基づく景観形成住民協定を事例に (Landscape development by community and participation of local government: A case study of residents agreement on landscape development based on Yamanashi Prefecture Landscape Ordinance),山梨県立女子短期大学紀要,36,85-91,2003. The residents agreement system is established in the landscape ordinances of many prefectures in Japan in order to promote the activity of the landscape development by residents. The present author investigated the process of conclusion of the 12 residents agreements based on Yamanashi Prefecture Landscape Ordinance so as to discuss the effectiveness the residents agreement on the landscape development, especially on the improvement of residents’ awareness. According to the results, the residents agreement is to some extent effective to improve the awareness for the residents living in the areas where the agreements have been concluded, but not sufficiently effective for the residents other than those areas. Another policy is required to make residents agreement system more effective. 3.学会発表■箕浦一哉,平松幸三,奥田孝史,金城巌,厚井弘志,大井紘,松井利仁,高木興一:音環境と居住者の意識に関するインテンシヴな調査−堺市の住工混在地区における調査例−,日本音響学会研究発表会講演論文集,767-768,1994.10.(熊本大学)大阪府堺市の住工混在地区において,音環境の観測,ならびに生活環境および音環境に関する自由記述式質問紙調査を実施し,結果を分析した。 ■箕浦一哉,平松幸三,奥田孝史,金城巌,厚井弘志,大井紘,松井利仁,高木興一:住工混在地区における居住者の音環境意識−2元クラスター法を用いた分析−,日本音響学会研究発表会講演論文集,769-770,1994.10. (熊本大学) 大阪府堺市の住工混在地区における音環境に関する自由記述式質問紙調査結果に基づき,記述された単語と回答者の双方についてクラスタ分析を行い,居住者の音環境意識の構造を検討した。 ■箕浦一哉,平松幸三,奥田孝史,金城巌,厚井弘志,大井紘,諸星敏勝,松井利仁,高木興一:幹線道路沿道における集合住宅居住者の音源の認知−自由記述調査結果を分析して−,日本音響学会研究発表会講演論文集,733-734,1995.9.(宇都宮大学) 大阪府豊中市の幹線道路沿道の集合住宅において,音環境に関する自由記述式質問紙調査および騒音レベルの測定を実施した。その結果を分析し,幹線道路の交通音と集合住宅内部の生活音のそれぞれの記述と騒音レベルとの関連について明らかにした。 ■箕浦一哉,平松幸三,奥田孝史,金城巌,厚井弘志,大井紘,松井利仁,高木興一:住工混在地区居住者の住環境に関する意識と音環境−堺市におけるインテンシブ調査結果に基づいて−,日本騒音制御工学会研究発表会講演論文集,211-214,1996.9.(京大会館) 堺市の住工混在地区における地域の住みよさに関する自由記述式質問紙調査結果を用い,住環境に関する意識と音環境との関連について分析した。 ■箕浦一哉,平松幸三:音環境に関するインテンシブ調査−堺市における調査例−,電気関係学会関西支部連合大会,1996.11.(立命館大学,草津市) 音環境についての社会調査におけるインテンシブな方法の意義を述べ,堺市の住工混在地区における住環境および音環境に関する自由記述式質問紙調査結果ならびに音環境の観測結果を事例として示した。 ■箕浦一哉,平田和美,藤本佳名子,平松幸三:伝統的織物工業地域における音環境に関する意識−京都・西陣地区におけるインテンシブ調査−,日本音響学会研究発表会講演論文集,689-690, 1997.3.(同志社大学) 京都市西陣地区において音環境の観測ならびに生活環境および音環境に関する自由記述式質問紙調査を実施し結果を分析した。その結果,居住者の経験が環境に対する認識・反応に影響を与えている可能性が見出された。 ■平松幸三,箕浦一哉,宮北隆志,松井利仁,伊藤昭好,渡久山朝裕,仲宗根正,平良一彦,長田泰公,山本剛夫:嘉手納基地周辺における聴取妨害と騒音曝露との関連,日本音響学会研究発表会講演論文集,687-688, 1998.3.(慶應義塾大学,横浜市) 沖縄の嘉手納基地周辺で行った生活環境に関するアンケート調査の結果のうち,聴取妨害の住民反応と騒音曝露との間の量反応関係について分析した。 ■平松幸三,箕浦一哉,宮北隆志,松井利仁,伊藤昭好,渡久山朝裕,仲宗根正,平良一彦,長田泰公,山本剛夫:嘉手納基地周辺における睡眠障害と騒音曝露との関連,日本音響学会研究発表会講演論文集,689-690, 1998.3.(慶應義塾大学,横浜市) 沖縄の嘉手納基地周辺で行った生活環境に関するアンケート調査の結果のうち,睡眠障害の程度と騒音曝露との間の量反応関係について分析した。 ■宮北隆志,箕浦一哉,松井利仁,伊藤昭好,渡久山朝裕,仲宗根正,平松幸三,平良一彦,長田泰公,山本剛夫:嘉手納基地周辺における防音工事の実質的有効性に関する検討,日本音響学会研究発表会講演論文集,691-692, 1998.3.(慶應義塾大学,横浜市) 沖縄の嘉手納基地周辺で行った生活環境に関するアンケート調査の結果のうち,防音工事の効果,満足度の住民反応について騒音曝露との間の量反応関係を分析した。また,防音工事の有無による聴取妨害等の住民反応の相違についても調べた。 ■松井利仁,平松幸三,箕浦一哉,宮北隆志,伊藤昭好,渡久山朝裕,仲宗根正,平良一彦,長田泰公,山本剛夫:嘉手納・普天間両基地周辺におけるうるささ関連反応の比較,日本音響学会研究発表会講演論文集,703-704, 1998.9.(山形大学) 沖縄の嘉手納,普天間基地周辺で行った生活環境に関するアンケート調査の結果について,「うるささ」,「被害感」の住民反応を分析した。また,2つの基地間の違いについても検討を加えた。 ■平松幸三,箕浦一哉,宮北隆志,松井利仁,伊藤昭好,渡久山朝裕,仲宗根正,平良一彦,長田泰公,山本剛夫:航空機騒音曝露による住民反応とうるささとの関連,日本音響学会研究発表会講演論文集,705-706, 1998.9.(山形大学) 沖縄の嘉手納,普天間基地周辺で行った生活環境に関するアンケート調査の結果について,各種住民反応と「うるささ」との関連を分析した。また,「うるささ」を指標とした場合の2つの基地間の違いを検討した。 ■宮北隆志,松井利仁,平松幸三,箕浦一哉,伊藤昭好,渡久山朝裕,仲宗根正,平良一彦,長田泰公,山本剛夫:嘉手納・普天間基地周辺住民の居住環境意識と航空機騒音との関連,日本音響学会研究発表会講演論文集,707-708, 1998.9.(山形大学) 沖縄の嘉手納,普天間基地周辺で行った生活環境に関するアンケート調査の結果について,「住みよさ」,「永住志向」の住民反応を分析した。また,2つの基地間の違いについても検討を加えた。 ■K. Minoura and K. Hiramatsu: An acoustic-ecological survey on community response to residential and sonic environment in an area of traditional textile industry, Proc. inter-noise 98, 1998.11. (Christchurch, New Zealand) 京都市西陣地区において音環境の観測ならびに生活環境および音環境に関する自由記述式質問紙調査を実施し結果を分析した。その結果,居住者の経験が環境に対する認識・反応に影響を与えている可能性が見出された。 ■T. Tokuyama, K. Minoura, K. Hiramatsu, T. Matsui, T. Miyakita, K. Taira, Y. Osada, T. Yamamoto: Disturbance of TV and telephone use by aircraft noise reported around an airfield in the Ryukyus, Proc. inter-noise 98, 1998.11. (Christchurch, New Zealand) 沖縄の嘉手納基地周辺で行った生活環境に関するアンケート調査の結果のうち,聴取妨害の住民反応と騒音曝露との間の量反応関係について分析した。 ■T. Miyakita, K. Minoura, T. Matsui, A. Ito, T. Tokuyama, K. Hiramatsu, K. Taira, Y. Osada, T. Yamamoto: Is residential sound-proofing an effective measure in reducing the effects of aircraft noise?, Proc. inter-noise 98, 1998.11. (Christchurch, New Zealand) 沖縄の嘉手納基地周辺で行った生活環境に関するアンケート調査の結果のうち,防音工事の効果,満足度の住民反応について騒音曝露との間の量反応関係を分析した。また,防音工事の有無による聴取妨害等の住民反応の相違についても調べた。 ■K. Hiramatsu, K. Minoura, T. Matsui, T. Miyakita, K. Taira, Y. Osada, T. Yamamoto: Evaluation of the residential environment by the inhabitants around an airfield in the Ryukyus, Proc. inter-noise 98, 1998.11. (Christchurch, New Zealand) 沖縄の嘉手納,普天間基地周辺で行った生活環境に関するアンケート調査の結果について,「住みよさ」,「永住志向」の住民反応を分析した。また,2つの基地間の違いについても検討を加えた。 ■K. Hiramatsu, K. Minoura, T. Matsui, T. Miyakita, K. Taira, Y. Osada, T. Yamamoto: Annoyance and its related responses of the residents around Kadena U.S. airfield in the Ryukyus, Proc. Noise Effects 98, 590-593, 1998.11. (Sydney, Australia) 沖縄の嘉手納,普天間基地周辺で行った生活環境に関するアンケート調査の結果について,うるささ関連反応と騒音曝露量の関連を分析した。 ■K. Minoura, T. Matsui, T. Miyakita, K. Taira, K. Hiramatsu, Y. Osada, T. Yamamoto: Sleep disturbance reported around Kadena U.S. airfield in the Ryukyus, Proc. Noise Effects 98, 463-466, 1998.11. (Sydney, Australia) 沖縄の嘉手納基地周辺で行った生活環境に関するアンケート調査の結果のうち,睡眠障害の程度と騒音曝露との間の量反応関係について分析した。 ■K. Hiramatsu, K. Minoura and I. Kinjo, A Method for Comparing Sonic Environments, inter-noise 99, 1305-1308, 1999.12. (Fort Lauderdale, Florida, USA) 比較。相関係数など利用。 ■Kozo Hiramatsu, Kazuya Minoura, Toshihito Matsui, Takashi Miyakita, Yasutaka Osada, Takeo Yamamoto: An analysis of the general health questionnaire survey around airports in terms of annoyance reaction, inter-noise 2000, 2089-2093, 2000.08.(Nice) アノイアンス ■Kozo Hiramatsu, Kazuya Minoura: Response to urban sounds in relation to the residents' connection with the sound sources, inter-noise 2000, 2292-2296, 2000.08.(Nice) 山鉾 ■Kazuya Minoura, Kozo Hiramatsu: Comparing soundscapes based on free response questionnaire surveys, inter-noise 2000, 2829-2832, 2000.08.(Nice) 筆者らはこれまで自由記述質問紙を用いた音環境に関するインテンシブな事例調査を3地区で行ってきた。本報告では3地区における音環境に関する自由記述調査結果を用いて音環境の比較の方法について検討した。 ■箕浦一哉,平松幸三:自由記述式質問紙調査による音環境の比較(A method for comparing sonic environments by means of free response questionnaire survey),日本音響学会研究発表会講演論文集,651-652,2000.9.21.(岩手県立大学) 筆者らはこれまで自由記述質問紙を用いた音環境に関するインテンシブな事例調査を3地区で行ってきた。本報告では3地区における音環境に関する自由記述調査結果を用いて音環境の比較の方法について検討した。 ■Kozo Hiramatsu, Toshihito Matsui and Kazuya Minoura: Environment Similarity Index Concerning Sonic Environment --- Toward the Evaluation of Sonic Environment ---, 17th International Congress on Acoustics, Sept 2-7, 2001 (Rome) 環境類似度 ■平松幸三,松井利仁,箕浦一哉,宮北隆志,長田泰公,山本剛夫:主観的健康感と騒音感受性との関連 ---嘉手納・普天間飛行場周辺での疫学調査--- (Relation between subjective health and noise sensitivity --- Epidemiological survey around the Kadena and Futenma airfields ---),日本音響学会研究発表会講演論文集,773-774,2001.10.02.(大分大学) 沖縄の嘉手納・普天間飛行場周辺の住民を対象としたTHI調査票を用いた疫学調査結果を用い,健康感と騒音との量反応関係が,騒音の感受性によってどのように異なるかを解析した。また,オーバーレポーティングの問題についても検討を加えた。 ■箕浦一哉,松井利仁,平松幸三:環境類似度に基づく音環境評価の方法(A Method for Evaluation of Sonic Environment Based on Environment Similarity Index),日本音響学会研究発表会講演論文集,887-888,2001.10.03.(大分大学) 近年,環境行政の理念は,従来の「基準クリア型」から「ベスト追求型」へ移行しつつあり,環境の多様な属性について総合的に評価する手法の開発が必要となってきている。本報告では,総合的な地域環境評価の手法を検討するための一つのステップとして,環境類似度を用いた環境評価の方法について,主に音環境を例として論じた。 ■Reiko Sakamoto, Kazuya Minoura, Yoshikazu Ishizuka, Akira Usui & Shigenobu Kanba:‘The Effectiveness of Aroma on Work Efficiency and Stress’, WPA Meetings / XII World Congress of Psychiatry (August,2002, Yokohama). ■箕浦一哉,松井利仁,平松幸三:住民による地域音環境の評価構造−自由回答に記述された音源とその評価を用いた分析−(Structure of Residents' Evaluation on the Sonic Environment --- An Analysis of Sound Sources and their Evaluation Described in Free Responses ---),日本音響学会研究発表会講演論文集,805-806,2002.09.27.(秋田大学) 音環境に関する自由記述回答中から音源とその評価の記述を抽出し,クラスタ分析によって音環境評価の分類を行い,住民による地域音環境の評価の構造について有用な知見を得た。 ■Kazuya Minoura, Kozo Hiramatsu: How Do Residents Describe Symbolic Noise? : A Case Study of an Area of Traditional Textile Industry in Japan, inter-noise 2003, 3347-3354, 2003.08 (Jeju, Korea) 京都市の伝統的織物産業地域における工場騒音に関する自由記述質問紙調査および聞き取り調査の回答を分析した。このようなシンボリックな騒音を取り上げることで,地域の社会的文脈を反映した住民反応を分析することができる。分析の結果,地域の社会的文脈から,工場騒音への肯定的な態度や,被害を否定する態度がみとめられた。一方で,このことから被害感の表明が抑圧されている可能性が示唆された。 ■平松幸三,松井利仁,山本剛夫,伊藤昭好,宮北隆志,與座朝義,渡久山朝裕,箕浦一哉,松野朝之,上原隆,長田泰公:航空機騒音の健康影響に関する疫学調査−沖縄県調査の概要−,日本音響学会研究発表会講演論文集,781-784,2003.09.(大同工業大学,名古屋市) 沖縄県調査の概要 ■松井利仁,山本剛夫,平松幸三,箕浦一哉,伊藤昭好,宮北隆志,長田泰公:睡眠障害と自覚的健康度の関係−嘉手納・普天間飛行場周辺での疫学調査結果−,日本音響学会研究発表会講演論文集,785-786,2003.09.(大同工業大学,名古屋市) 沖縄の嘉手納・普天間飛行場周辺で行った質問紙調査結果に基づき,睡眠障害と各種自覚的健康度との関連を解析した。その結果,各種の自覚症状に対して,騒音曝露量よりも睡眠障害の程度が強い関連を示した。 ■Kazuya Minoura, Kozo Hiramatsu: An Analysis of Residents' Free Descriptions on Industrial Noise in Industrial-Residential Mixed Use Areas in a Soundscape Perspective, inter-noise 2004, 2004.08 (Prague, Czech) The present study analyses free descriptions about industrial noise given by the residents living in two areas of traditional textile and metalworking industries in Japan, casting light upon social/local contexts concerning the noise. The results of the analysis indicate that industrial noise is described primarily as disturbing noise on one hand, and other types of descriptions regarding the noise as affirmative and accepted on the other hand. A theory that could explain the fact is that there are local contexts affecting community response to the noise. The contexts can be classified into three factors: (1) diachronic context of local sonic environment, (2) social context of sound source, and (3) social context of community members. The results suggest that community response to noise is partly dependent upon local contexts concerning the noise, and that management of the sound environment would be successfully achieved, especially in areas having characteristic noises, by taking the local context of sounds heard in the area into account. ■宮川雅充,松井利仁,内山巌雄,箕浦一哉,平松幸三:環境類似度による音環境評価,日本騒音制御工学会研究発表会講演論文集,113-116,2004.09.(山梨大学,甲府市) 京都市内の98軒を対象に行った騒音測定および住民のうるささ評価の結果を用いて,環境類似度によって音環境を評価するための方法を提案することを試みた。 4.学位論文博士論文■A Study on Acoustic Ecology in Areas of Traditional Textile and Metalworking Industries. 提出先:武庫川女子大学大学院家政学研究科(1998) 修士論文 ■住環境の快適性および音に関する居住者の意識構造−自由記述調査を用いて 提出先:京都大学大学院工学研究科(1994) 学士(卒業)論文 ■異なる音場間の音響刺激の等価性に関する研究 提出先:京都大学工学部(1992) 5.その他研究会での発表■箕浦一哉,平松幸三,鳥越けい子:シェーファーのサウンドスケープ思想にみる環境観−1995年7月10日のインタビューを中心に−,日本サウンドスケープ協会第16回研究会,慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス,1996.4. 「サウンドスケープ」提唱者のシェーファーの著作とインタビューに基づいて,彼のサウンドスケープ思想に内在する環境観について分析した。特にディープ・エコロジー思想との類似点および相違点を検討した。 [Top] |