芭蕉db

嵯峨日記

(4月18日)


元禄四辛未卯月十八日*、嵯峨にあそびて去来ガ落柿舎*に 到。凡兆*共ニ来りて、暮に及て京ニ歸る。予は猶暫とヾむべき由にて、障子つヾくり、葎引かなぐり*、舎中の片隅一間なる 處臥處ト定ム*。机一、硯、文庫、白氏集*・本朝一人一首*・世継物語*・源氏物語 ・土佐日記・松葉集*を置、并唐の蒔繪書たる五重の器*にさまざまの菓子 ヲ盛、名酒一壷*盃を添たり。夜るの衾*・調菜の物共*、京 より持来りて乏しからず。我貧賎をわすれて清閑ニ樂。


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