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大歳をおもへばとしの敵哉

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大歳をおもへばとしの敵哉      凡兆

元の五文字戀すてふと置て、予が句也*。去來曰、このほ句に季なし。信徳曰、戀櫻と置べし。花ノ騒人のおもふ事切也*。去來曰、物にハ相應あり。古人花を愛して明るを待、くるゝをおしみ、人をうらみ山野に行迷ひ侍れど、いまだ身命のさたに及バず*。櫻とおかば、却て年の敵哉といへる處、あさまに成なん*。信徳猶心得ず。重て先師に語る。先師曰、そこらハ信徳がしる處にあらずト也。其後凡兆、大歳をと冠す、先師曰、誠に是の一日千年の敵なり。いしくも置たる物かなと、大笑し給ひけり*