去来抄故実

 

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故實 予初學の時より俳諧の法を知事を穴勝とせず*。此故に去嫌季節等も不覺悟*。増して其外の事は言に不及。しかれども此篇は先師の物語有し事共、わずかに覺へ侍るを記す*


 

K01 卯七曰、先師は俳諧の法式を用ひ給はずや

K02 卯七曰、蕉門に手に葉留の脇、字留の第三、用ゆる事はいかに

K03 卯七曰、蕉門に無季の句興行侍るや

K04 卯七曰、ほ句に切字を入るゝ事は如何。

卯七曰。花に定座有哉。

卯七曰、花を引上て作するはいかに。

卯七曰、猿みのに花を櫻にかへらるゝはいかに。

卯七・野明曰、蕉門に戀を一句にても捨るはいかに。

卯七曰、蕉門に宵闇を月に用ひ侍るや 、いかん。

去來曰、許六と 明月の明の字を論ず。。

許六曰、村雨は季 無し。

去來曰、手爾波 葉は天下一まいのてにはにて、誰々も知るもの也。

許六曰、古事古歌を取には、作を並べて心を盡す べし。

去來曰、古事・古歌を とるには、本歌を一段すり上て作すべし。

先師曰、世上の俳諧の文章を見るに、

先師曰 、凡讃名所の 發句は、其讃を其所の發句と見ゆるやうに作るべしと也。

先師曰、俳名は穴勝熟字によらず、 只となへ清くとゝなひ、字形の風流なるを用ゆべし。

去來曰、俳諧の集の模様、やはり俳諧の集の内にて作すべし。

去來曰、外題の寸法有。

魯町曰、竹植る日は古來より季にや。

卯七曰、先師に二見形といふ文臺侍る 由、いかゞにや。

去來曰、先師 曰、俳諧の書の名は、和歌詩文史録等と違ひ、作者の有べしと也。

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