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鞍坪に小坊主のるや大根引

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   鞍坪に小坊主のるや大根引         ばせを

蘭國曰、此句いかなる處か面白き*。去來曰、吾子今マ解しがたからん。只圖してしらるべし*。たとへバ花を圖するに、奇山幽谷霊社古寺禁闕によらバ、その圖よからん。よきがゆへに古來おほし*。如此類ハ圖の悪敷にハあらず。不珍なれバ取はやさず*。又圖となしてかたちこのましからぬものあらん。此等元より圖あしとて用ひられず。今珍らしく雅ナル圖アラバ、此を畫となしてもよからん。句となしてもよからん*。されバ大根引の傍に草はむ馬の首うちさげたらん、鞍坪に小坊主のちよつこりと乗りたる圖あらば、古からんや、拙なからんや。察しらるべし*。國が兄何某、却て國より感驚ス。かれハ俳諧をしらずといへども、畫を能するゆへ也*。圖師尚景が子也。