芭蕉db
      上巳

袖汚すらん田螺の海士の隙を無み

(木因宛真蹟書簡)

(そでよごすらん たにしのあまの ひまをなみ)

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 天和2年、芭蕉39歳の作。この年10句が記録されている。前詞の「上巳<じょうし>」は3月3日の雛祭りのこと。

袖汚すらん田螺の海士の隙を無み

 この季節、海は大潮の季節で海人は貝を獲るのに忙しい。他方、ひな祭りに供えるタニシを採ろうというので、農夫は田圃に入って泥だらけになって忙しい思いをしていることであろう。
 万葉調の高貴な言葉遣いと主題の不一致を得意としてのである。