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芭蕉db
元禄三、元旦
(真蹟草稿)
(こもをきて たれひといます はなのはる)
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元禄3年元日、膳所での歳旦句。芭蕉47歳。『奥の細道』を昨秋に終え、この年の四月からは『幻住庵』に居住、この一年後『嵯峨日記』の執筆に入る時期。「軽み」発見の時期にあたり、芭蕉の俳諧の最後のステージへと完成して行く時期の始まりにあたる。『荷兮宛真蹟書簡』に、「撰集抄の昔を思い出して」と作句の動機が述べられている。
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薦を着て誰人います花の春
都の春、数多居る乞食の中には、きっと西行上人のような偉大な文学者もいることでしょう。
尊敬してやまない西行の(著作と信じられていた)『撰集抄』には、乞食<こつじき>の作品が多く掲載されている。乞食とは、経済的、才能的理由でやっている敗残者などではなく、
芭蕉にとっては、虚飾と汚濁の濁世・塵土を見限った世捨ての文人墨客の謂なのである。
一句で「薦を着て」いるのは乞食の制服。都に多い乞食だが、この中にも西行が言う乞食が多く含まれているに違いない。
『此筋・千川宛書簡』によれば、この句を歳旦帳の引付巻頭に載せるなどとんでもないことだと京都の俳人達は陰口を言っているとある。芭蕉の思いとは別に、世間の「常識」は、乞食はやっぱり人生の敗残者だったのである。