芭蕉db
   歳旦

元日や思えばさびし秋の暮

(真蹟短冊)

(がんじつや おもえばさみし あきのくれ)

句集へ 年表へ Who'sWhoへ


 天和3年、芭蕉40歳の作。この年9句が記録されている。

元日や思えばさびし秋の暮

 昨日の晦日までは賑わっていたのに、元旦は人々が家の中にいて却って普段よりも静かだ。この静かさは思えば晩秋のような寂しさを喚起する。元日と静けさを晩秋の夕暮れと強引に結びつけた牽強付会の句。この強引さも談林風俳諧の特徴である。「さびしさ」が浮ついている。