秋の月は、限りなくめでたきものなり。いつとても月はかくこそあれとて、思ひ分かざらん人は*、無下に心うかるべき事なり*。
いつとても月はかくこそあれとて、思ひ分かざらん人は:秋の月とそれ以外のシーズンの月との違いが分からずに、いつの月だって月は月だなどと無神経に思っている人は、。
無下に心うかるべき事なり:こういう人はどうしようもなく情けない。
月にかかる美意識。秋の月は格別の月。
あきのつきは、かぎりなくめでたきものなり。いつとてもつきはかくこそあれとて、おもいわかざらんひとは、むげにこころうかるべきことなり。