續猿蓑

巻之下

釋教之部 附 追善 哀傷


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涅 槃 灌 佛 魂 祭 雑 題


    

  涅 槃

涅槃像あかき表具も目にたゝず    沾圃

ねはん會や皺手合る珠数の音     芭蕉

山寺や猫守り居るねはむ像      不撤

貧福のまことをしるや涅槃像     山蜂

  灌 佛

灌仏やつゝじならぶる井戸のやね   曲翠

散花や佛うまれて二三日       不玉

灌佛や釈迦と提婆は従弟どし     之道

  魂 祭

喰物もみな水くさし魂まつり     嵐雪

寐道具のかたかたやうき魂祭     去来

やま伏や坊主をやとふ玉祭      沾圃

甲戌の夏大津に侍しを、このかみのもとより
消息せられければ、旧里に帰りて盆會をいと
なとて
家はみな杖にしら髪の墓参      芭蕉

悼少年 二句
かなしさや麻木の箸もおとななみ   維然

その親をしりぬその子は秋の風    支考

かまくらの龍口寺に詣て
首の座は稲妻のするその時か     木節

はか原や稲妻やどる桶の水      支梁

  御 影 講

柚も柿もおがまれにけり御影講    沾圃

  臘 八

腸をさぐりて見れば納豆汁      許六

何のあれかのあれけふは大師講    如行

  雑 題

洛東の眞如堂にして、善光寺如来開帳の時
凉しくも野山にみつる念仏哉     去来

有ると無きと二本さしけりけしの花  智月

けし畑や散しづまりて仏在世     乙州

ものゝふに川越問ふや富士まうで   望翠

手まはしに朝の間凉し夏念仏     野坡

食堂に雀啼なり夕時雨        支考


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