元禄六孟夏末 風羅坊芭蕉 印 印
この一文は、元禄5年7月末か8月初め以来江戸在勤であった森川許六が彦根に帰るにあたっての離別の詞として書き送ったものである。許六の才能に対する並々ならぬ敬意を表しながらも、自己の歌論を吐露して、芭蕉の俳諧文芸の神髄を語っている。 なお 文末の「古人の跡を求めず,古人の求めしところを求めよ」は、最も人口に膾炙した部分である。