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卯七曰、蕉門に無季の句興行侍るや

 
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卯七曰、蕉門に無季の句興行侍るや*
去來曰、無季の句は折々有。興行はいまだ聞ず*。先師曰、ほ句も四季のみならず、恋・旅・名所・離別、等無季の句有りたきもの也。されどいかなる故ありて、四季のみとは定め置れけん、その事をしらざれば、暫く黙止侍る也*。その無季といふに二ツ有。一ツは前後、表裏、季と見るべきものなし。落馬即興に、
    歩行ならば杖突坂を落馬哉        ばせを
    何となく柴吹くかぜも哀れなり       杉風
又詞に季なしといへども、一句に季と見る所有て、或は歳旦とも、名月とも定まる有り。
    年々や猿に着せたる猿の面        ばせを
斯也と。