「
芭蕉db
笈の小文
(大坂)
大坂にて、ある人
*
のもとにて
杜若語るも旅のひとつ
哉
(かきつばた かたるもたびの ひとつかな)
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年表
杜若語るも旅のひとつ
哉
「かきつばた」といえば、「
からころも着つつなれにし妻しあればはるばるきぬる旅をしぞ思ふ
」(伊勢物語)とことは決まっている。一笑の屋敷には杜若が咲いて、はるばる来た旅の話にどうしたってなってしまう。
大阪市福島了徳院(浦江聖天)境内の句碑(牛久市森田武さん提供)
ある人:この当時大坂に住んでいた伊賀の蕉門保川一笑のこと。『蕉翁句集』に、「此句は万菊を供して難波の一笑が本に旅ねの時也。一笑はいがにて紙や弥右衛門と云る旧友也。」とある。
なお、一笑という名の人物は、加賀の小杉一笑や、尾張島津の若山一笑などがいて紛らわしい。