江戸から宛先不明の書簡。去来の名が出てくるので膳所または京都辺りの人が宛先と思われる。
乙洲(州)下候間、一翰致二啓達一候:<おとくにくだりそうろうあいだ、いっかんけいたついたしそうろう>と読む。乙州が江戸に来ましたので、おたより申し上げます、の意。
久々絶レ便候而、御物遠罷過候:<ひさびさびんたえそうろうて、おんものどおまかりすぎそうろう>と読む。長い間お便りもしないで、御無沙汰に過ぎました、の意。
露命は猶難面候間、可レ易二御心一候:<ろめいはなおつれなくそうろうあいだ、おこころやすかるべくそうろう>と読む。(私は持病がちではありますが)命は未だありますので、ご安心下さい、の意。
定而去来折々被レ尋候半と存候:<さだめてきょらいおりおりたずねられそうらはんとぞんじそうろう>と読む。きっと、去来が貴方をしばしば訪問していることと拝察しています、の意。