半日の雨より長しいとざくら* はせを
卓袋宛に京に出てくるように促す目的で書いた書簡。文面から見て4月も押しつまってかららしいが、杜国が23日に三河に帰っているのに「二人だけでは面白くない」旨の内容が有るのは腑に落ちない点も有る.発句も存疑の怪しいものであることから、書簡全体も疑わしい点が無いではないが、先の25日卓袋宛書簡との類似から現在に残る。
飛脚便並宗無老御越之節御状、忝致二拝見一候。:<ひきゃくびんならびにそうむろうおこしのせつのごじょう、かたじけなくはいけんいたしそうろう>と読む。宗無は伊賀上野出身で江戸在住の弟子。この時宗無が卓袋からの書状を携行したのである。
廿五日立之飛脚に以二書状一申進二之一候へば:<25にちだちのひきゃくにしょじょうをもってこれをもうししんじそうらえば>と読む。貞亨5年4月25日付け卓袋宛の書簡を指す。書簡で言うべきことを言ってあるので何も付け加えるべきことも無いが、発句を一つ見せたいのと、兎に角卓袋が京に出てくるように勧めたい目的でこの書簡を書いているのである。
両人:もう一人は杜国を指す。なお、杜国は去来の居る京都まで芭蕉に随行し、4月23日に三河に帰った。これが永久の別れとなる。
節句過早々あたご参可レ被レ成候:<せっくすぎそうそうあたごまいりなさるべくそうろう>と読む。こっちへ来て一緒に愛宕神社に参詣しようではないかというのである。再三の催促である。