旅寝してみしやうきよのすゝ払
「笈の小文」の途、名古屋から江戸の杉風に宛てた書簡。 名古屋・熱田・鳴海などでの接遇について報告しているが、特に予定が大幅に遅くなっていることとその理由について書いている。 なお、この日は恒例の国民的年末大掃除の日であった。
其元別条無二御坐一候哉、承度奉レ存候:<そこもとべつじょうござなくそうろうや、うけたまらいたくぞんじたてまつりそうろう>、 お変わり有りませんでしょうか?、の意。
屋布御勤相調候哉:<やしおつとめあいととのいそうろうや>。魚問屋の杉風家の商売が旨く行っているかと見舞っている。
隣国近き方へまねき、待かけ候へば、先春に春にと云のばし置申候:隣国は「美濃」を、近きは「大垣」をさすのであろう。そこらへさかんに招待されるが、来年の春になったら春になったらと招待を先延ばししています、の意。
只まを合たるまでに候:ただちょっと調子を整えた程度の作品しか作られていないの、の意 だが、この間の作品群は大層なものだったのであってこれは謙遜である。
又兵衛殿:未詳。
仙化:江戸の人だが伝不詳の人物。『蛙合』の編者とされている。