芭蕉db

何云宛書簡

(元禄2年4月下旬 芭蕉46歳)

書簡集年表Who'sWho/basho


白河の風雅聞きもらしたり*。いと残多かりければ*、須か川の旅店より申つかはし侍る。

関守の宿を水鶏にとはうもの      はせを

又、白河愚句、色黒きといふ句*、乍単*より申参候よし、かく申直し候。

西か東か先早苗にも風の音

何云雅丈

 『奥の細道』で福島県須賀川の等躬宅に滞在中、白河藩士何云宛に書いた書簡である。何云は、俳諧のディレッタントで芭蕉のファンの一人、須賀川の等躬とは入魂であった。その等躬宅に滞在中の芭蕉に宛てて何云が書簡を送ったのに応えたのがこれである。

白河の風雅聞きもらしたり:何云を訪ねませんでした、の意。
いと残多かりければ:非常に心残りなので、の意。
色黒きといふ句句集参照。何云からの書簡はこの句について書いてきたものらしい。
乍単:<さくたん>は、須賀川の相良等躬の別号 。