深川から、郷里の兄松尾半左衛門に宛てた書簡。兄宛てに新年用の餅代を送金していることが記されている。
二日之貴墨、藤長兵衛殿より御届被レ下拝見仕候:<ふつかのきぼく、とうちょうべえどのよりおとどけくだされはいけんつかまつりそうろう>と読む。二日付けの貴方からの手紙を藤堂長兵衛様から届けていただいて拝見しました、の意。二日が何時の二日かは不明。藤堂長兵衛は、玄虎。
愈御堅達御重年被レ成候由、珍重目出度奉レ存候:<いよいよごけんたつごちょうねんなされそうろうよし、ちんちょうめでたくぞんじたてまつりそうろう>と読む。お元気で新年をお迎えとの事、何より目出度いことでございます、の意。
自レ是も先無事に左右可二申上一と:<これよりもまずぶじにそうもうしあぐべきと>と読む。こちらからも無事であることを先ずお便りしようと、修理様の飛脚に便乗してお便りを致しました。修理は、藤堂修理長定で、俳号は橋木。藤堂家縁者。
尚々鏡代、人の持参候を直に進上、祝義(儀)迄に御祝可レ被レ成候:<なおなおかがみだい、ひとのじさんそうろうをただちにしんじょう、しゅうぎまでにおいわいなさるべくそうろう>と読む。年始の餅代を持参しましたので、お納め下さい、といった意味。
次右衛門殿先日年始之状返翰□仕候間、此度延引仕候:<じえもんどのせんじつねんしのじょうへんかん つかまつりそうろうかん、このたびえんいんつかまつりそうろう>と読む。次右衛門様から返書を頂いていますが、今回は後回しですの意か。次右衛門は藤堂修理の家臣。伊賀在住。