武城江東散人芭蕉桃青*
名古屋市南区笠寺町にある笠覆寺<りゅうふくじ>に伝わる『笠寺縁起』を主題として奉納した発句を知足宛に送った時の書簡。
この御寺の縁記(起):この寺とは、名古屋の真言宗天林山笠覆寺のこと。ここの本尊十一面観音像が雨漏りのために腐りかけていたのを、在の長者の侍女が笠を作って被せたところ早速御利益が有ったという。この話を芭蕉は知足から何度も聞かされていたのであろう。
笠寺の発句度々被二仰下一候故:<かさでらのほっくたびたびおおせくだされそうろうゆえ>と読む。知足が上のような寺の縁起についてしばしば芭蕉に知らせてきて、句を奉納したいと二人とも考えていたのであろう。