芭蕉db
   須賀川の駅より東二里ばかりに石
   河の滝といふある由。行きて見ん
   事を思ひ催し侍れば、この頃の雨
   に水嵩増りて河を越す事かなはず
   といひて、止みければ

五月雨は滝降り埋むみかさ哉

(曾良書留)

(さみだれは たきふりうずむ みかさかな)

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 元禄2年4月27日。『奥の細道』旅中、須賀川にて。石河は、阿武隈川の断層によって生じた滝。『曾良旅日記』によれば、この辺りの川幅は120間以上もあり、その中に石河の滝があって、筋かえに150乃至60間もある。高さは低く2丈程度。だから大雨になると滝は埋まったようになってしまう。
 この句では、芭蕉は現場は見ていない。話に聞いた石河の滝を、降り続く五月雨に想像して詠んだのである。

五月雨は滝降り埋むみかさ哉

 この五月雨の降り方では、さぞや石河の滝は水嵩に耐えかねて埋まったようになっていることであろう。「みかさ」は水嵩のこと。


福島県石川郡玉川村龍崎乙字ヶ瀧瀧見不動堂の句碑
と・・・


乙字ヶ瀧。牛久市森田武さん提供