芭蕉db

白菊の目に立て見る塵もなし

(菊の塵)

(しらぎくの めにたててみる ちりもなし)

白菊や目に立て見る塵もなし

(真蹟草稿)

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白菊の目に立て見る塵もなし

 元禄7年9月27日午前中、病をおして芭蕉は門人園女(そのめ)邸を訪れた。その時の嘱目吟。主人園女に対する挨拶吟でもある。この句を発句として歌仙が巻かれた。寒気のしみわたる初冬の朝の引き締まった気分と白い菊の清冽さが際立つ秀句。
 芭蕉は、この句会を最後についに不帰の人となった。

白菊の目に立て見る塵もなし  芭蕉

紅葉に水をながす朝月    園女

冷冷と鯛の片身を折りまげて  諷竹

何にもせずに年は暮行    渭川(園女の夫)

小襖に左右の銘は煤びたり   支考

みやこをちって国国の旅   惟然


園女:人名集参照
維然:人名集参照