身延山花の寺境内にある句碑
久遠寺の萬燈会
日蓮消息文に、日蓮が信徒からの贈り物への礼状に、「新麦一斗、筍<たけのこ>三本、油のやうな酒五升、南無妙法蓮華経と回向<えこう>いたし候」とあるから採った。このことからして、芭蕉は日蓮文書を読んでいたことが分かる。
一句も、芭蕉が門人の誰彼から酒を貰ったのに対しての謝礼吟または酒に対する褒美の吟であろう。実際油のようなコクのある酒であったかどうかは怪しいが、そこはあくまで日蓮の用いたコードを使いたかったのであろう。
江戸童歌に、
「お正月はよいもんぢや
油のような酒飲んで
木っ端のような餅食って
雪のようなまま食って
これでもとつさん正月か」
がある。
一句にある「油のような酒」は、こちらに近いのかも知れない。