芭蕉db

尊がる涙や染めて散る紅葉

(笈日記)

(とうとがる なみだやそめて ちるもみじ)

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 元禄4年9月30日か10月 朔日。東下の途中、彦根の平田の李由の寺に立ち寄って。李由はこの夏、「嵯峨日記」執筆中の芭蕉を落柿舎にたずねて門弟になったばかりだった。

尊がる涙や染めて散る紅葉

 この寺の尊さ有り難さについて皆が涙を流すので、その涙で紅く染まった落ち葉が今落ちていく。
 
百歳の気色を庭の落葉哉」と同じ日元禄4年10月、同じ場所平田の明照寺での作。寺を誉めるための句だが、誉め過ぎがかえって厭味になっている


滋賀県伊香郡高月町大園寺の句碑。牛久市森田武さん提供